私の近所では縞と黒の猫を時々見かけます。野良なので膨よかな体型の子はいませんが、夏の暑い日も、雪が降る冬の日も猫たちは懸命に生きているようです。
猫は本能でより強い遺伝子残すために同じテリトリーで繁殖はしないと聞いたことがありますが、ここ数年この二種類以外は見かけていません。
何年か前に我が家の庭で野良猫が子猫を4匹産んだことがありました。暫く母猫は(恐らく何も食べずに)片時も離れず子供の世話をしていました。母猫の毛並みはボロボロでとても痩せていましたが私が遠くから覗くと、ピンと神経を尖らせて決してこちらから目線を離しません。その姿は凛としていて、とても美しく見えました。
母猫がその場を離れるようになった頃、可哀想ですが子猫を保護して飼い主を探すことにしました。
しかし、そのことを察したかのようにある強い雨の日に猫たちは姿を見せなくなってしまいました。
最後に姿を見たのは、雨の中、母猫が一匹一匹子猫を口に銜えて運んでいる姿でした。
その後、時々母猫は何度か見かけましたが子猫たちは消息不明のままです。
そして今、近所で見かける縞や黒の猫たちはその時の子猫なのか、またその時の子猫の子供なのか、別の猫なのかはわかりませんが彼らの姿を見かけると母猫の直向きな姿を思い出します。幸せに生きて欲しいと願いつつも、寧ろ猫たちの今を生きる姿にこちらが幸せを頂いている気がします。