副鼻腔の形成について
まずは、副鼻腔についてご説明させていただきます。
新生児期の副鼻腔は直径1センチくらいでまだ鼻腔とは連絡せず骨髄で形成されています。
それゆえ、新生児から4歳までの副鼻腔炎はありません。
2歳から発達し始め、17歳くらいでほぼ副鼻腔は完成されます。 4歳から6歳ごろの副鼻腔は小さいながらも鼻腔との通路は広く炎症を起こしやすいですが その分排膿されやすく、治癒しやすいのが特徴です。
慢性化の原因
- 6歳くらいになると副鼻腔の通路が狭くなるので炎症が慢性化しやすくい
- アレルギー性鼻炎を合併している
- アデノイドが大きい
- 長い間放置していたり指示通り薬を服用しない場合
診断
適切な治療方法を決めるためにいくつかの検査をします。
鼻鏡検査
鼻咽腔直逹鏡検査
レントゲン
副鼻腔炎の主な症状
多くは上気道感染(風邪)の後に併発します。
風邪のあと上記症状が長引く時は副鼻腔炎になっていることが多いです。 小児の場合は症状を訴えないことが多いため家族が気をつけてあげることが大事です。
小児の慢性副鼻腔炎の治療 薬物療法
治療薬として、マクロライド系・去たん薬・消炎酵素剤を用います。 3~6ヶ月の長期服用になることもあります。途中で服用を中断することなく医師の指示に従って服用してください。
マクロライド系
抗菌作用ではなく抗炎症作用により、病的な粘膜を正常化します。
去痰薬
鼻水の粘りを抑えてさらさらにし、鼻腔外へ排出させやすくします。
消炎 酵素剤
鼻水の粘りを抑えて、繊毛の動きを活発にし、鼻腔の炎症を抑えます。
小児の慢性副鼻腔炎の治療 局所療法
症状により、週に1~3回の程度の治療を行います。
吸引
鼻の通りをよくするため、鼻腔内の鼻汁を吸引します。
ネブライザー療法
鼻の通りが良くなったら、ネブライザーという装置で、抗菌薬を副鼻腔内に直接送り込みます。
小児の場合は副鼻腔が発達していないので手術は原則おこなません。
治療は治るまで数ヶ月以上かかることも稀ではありません。そのため症状の繰り返しがありますが、焦らず根気よく加療してください。
小児の副鼻腔炎のポイント
- 副鼻腔の発育から4歳までは急性鼻炎が主で副鼻腔炎はありません。
- 6歳以後は副鼻腔と鼻の通路が狭くなるので慢性化に注意
- しっかり加療すれば治癒の可能性は大きい
- 途中で中断することなく根気よく治癒するまで加療をやめない